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ここで一つ注意しておかなければいけない病気があります。それは、激しい水下痢と脱水、重症例では起立不能から死亡にまで至ってしまう事もある「急性ルーメンアシドーシス」です。他の獣医師も過去に紹介しるので、詳しい病態や症状、治療法などはそちらを参考にして下さい(桐野獣医師:第9話~第14話、伏見獣医師:NO.109〜NO.111)。 育成期から肥育前期にかけて、同じように管理していてもこの病気になる牛とならない牛がいます。その牛達にはどういう違いがあるでしょうか?私が今まで見てきた発症牛の多くに共通する特徴として「体格がいい」というのが挙げられます。群飼の場合、他の牛を押しのけて自分だけ濃厚飼料をガツガツ食べてしまうような牛です。こういった牛は要注意です。一貫農家さんでは産子の体格を揃えるのが難しい場合もありますし、一部一貫の農家さん(肥育素牛が全て市場導入ではなく自家産の子牛もいる農家さん)でも自家産と導入牛の体格が違ってしまう事もあるかと思います。また肥育農家さんでは、導入金額や導入頭数を揃える都合上、素牛の体格にばらつきが出る時もあります。この様な場合、体格の大きいよく餌を食べる牛には注意です。特に一群の頭数が多い場合などなおさらです。体格はよくても、お腹の中の有機酸の吸収能力はまだまだ未発達なので、食餌から得た大量の酸を処理しきれないという事態になりかねません。
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