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笹崎直哉のコラム
久しぶりの尿石症

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2020年5月26日

 ここ数年で尿石症の発生がだいぶ減ったなぁという印象です。そんな思いもつかの間、久しぶりに尿石症にあたり尿道バイパス手術を行ってきました。当時は江頭獣医師と往診で牧場をまわり夕方に差しかかっていました。

 「21ヵ月齢の肥育去勢が尿の出が悪いし、下痢をしている」

 という稟告で農場を伺いました。直腸検査で膀胱は膨張し、皮膚の温度も冷たく、尿毒症がはじまっていたためか黄緑色の水様下痢をしていました。腹腔穿刺で腹腔内の尿の貯留をチェックしましたが、検出しなかったので尿石症と診断し、すぐさま尿カテを準備し、牛さんを保定し、環境を整え江頭獣医師と尿道バイパス手術を開始しました。
 毎度難儀するのが、カテーテルの挿入です。どうやって尿道狭を突破するか。これが尿道バイパス手術の醍醐味で、一番のポイントです。これをクリアすれば、思わずガッツポーズしてしまうほどの快感です。
 私が尿道狭の突破で注視しているのが、カテーテル先端の形状です。

 過去の2年間で3症例を経験しましたがType ①で成功したのが、1頭。Type ②は2頭でした。なので「今回も先端を細く、鋭利な形にしたほうが突破できるかな」と期待し、トライしました。江頭獣医師と直腸検査で膀胱をマッサージしたりなど、工夫しながら黙々とカテーテルを操作しましたが、結局Type ②で成功しました。ふと気がついたら30分経過していました。その後勢いよく排尿し、膀胱内に溜まっていた結石の一部が出てきました。

 あくまでも個人的な意見ですし、牛さんによって様々ですが、カテーテルの形状はType ②の方がいいかなという印象です。ちなみに農場出たのが19時半ごろで疲労が溜まっていました。江頭獣医師は非常に元気でしたが、体力のない笹崎は日課で継続していたオンライン英会話レッスンをキャンセルし、早めに就寝して翌日に備えました。

おしまい

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