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松本大策のコラム
アカバネ発生か?

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2020年5月25日

 姶良の同期の蔵前獣医師からアカバネを疑わせる症例が出たので、注意喚起(といっても、すでに感染しているお母さんには出来ることはないのですが、これからの衛生管理のために)の意味で報告します。

 蔵前先生の報告
 1例目は外見的な奇形は頭部がドーム状で目が小さい程度でしたが神経症状が出ていました。動画の子牛です。家保にて脳内が水っぽく、大脳が小さめで側脳室の拡張が見られたとの事です。

 2例目は四肢の湾曲、脊柱の湾曲で、帝王切開で産ませましたが、死亡していました。大脳はほとんどなかったでした。

 どちらも昨年の8月授精です。昨年からアカバネなどの抗体が上がっているとの事でしたが今年になって出ていなかったので安心していたのですが,これから出そうで心配です。

 鹿児島県は全国に先駆けて、このような異常産の報告が見られます。とくに蔵前先生はこのような症例をよく紹介してくれます。このような異常産を起こす病原体で多いのは、吸血昆虫で媒介されるタイプ(通称アルボウイルスと呼ばれます)で、有名なアカバネ病、チュウザン病、アイノウイルス病、ピートンウイルス病などの種類があります。

 この病気を防ぐ方法の一つとして、異常産4種混合ワクチンというものがあります。このワクチンは、上記の4種類の病原体を防ぐ効果があります。しかしながら、未だにワクチンの出来ていないシャモンダウイルスなどもありますし、まだ知られていないだけで、未知の流死産を起こすウイルスもないとは言えません。これらのウイルスは、吸血昆虫(ヌカカやサシバエ、アブ、ブユなど)で媒介されますから、これらの吸血昆虫の駆除や忌避剤、除糞やさなぎから成虫になるのを防ぐ薬剤、等を「吸血昆虫が増える前に」きちんと実施することが重要です。

 コロナの被害で、経営の厳しき折です。事故だけはしっかりと防いでいきましょう!

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