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池田哲平のコラム
「「下痢を考える(3)」」

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2011年12月2日

 ではそれぞれどのようにして起こるのか?ここでは、腸管の構造からみた下痢の発生メカニズムを見てみようと思います。

 腸管の管腔内というのは、ツルンとしたきれいな表面をしているのではなく、たくさんの凹凸があります。粘膜が波打ったようにヒダ状になっているのは肉眼でも見えますが、顕微鏡的に見るとさらに小さな毛の様なものがびっしりと生えています。これを腸絨毛(ちょうじゅうもう)と言います。このヒダや腸絨毛があることで、腸管は非常に広い表面積を持つことができ、水分や消化物を効率よく吸収しています。そして、腸絨毛と腸絨毛の間のくぼみ(陰窩:いんか)から種々の酵素を含んだ粘液や漿液を分泌しています。

 下痢の時は、様々な理由で陰窩からの分泌が多くなったり、腸管粘膜からの吸収が悪くなったりしています。吸収不良が起きている場合は、感染症によって腸絨毛が破壊されて、本来デコボコしているはずの腸管粘膜の表面が、ツルツルになってしまっている事もあります。

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