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池田哲平のコラム
「「下痢を考える(2)」」

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2011年11月25日

 まず、下痢とはどういった状態の事を指すのでしょうか?
 下痢とは、便をする頻度あるいは糞便の容量が増える事を言い、特に一般的には糞便の容量が増す事を言います。そして多くの場合、食べるものの量が一定であれば糞便の容量というのは水分の多い・少ないに左右されるので、ほとんど例外がない限り、「下痢=水分が多い便をする事」として話されます。便の容量が増えると言っても、餌を大量に食べる肥育牛ではもりもりと凄い量が出てくる時もありますが、誰もこれを下痢とは呼びませんもんね。
 
 じゃぁ下痢はなぜ起こるのか。言い換えると、なぜ便の中の水分の量が増えるのか、という事ですが、これは簡単に言うと、“腸管での水分の分泌と吸収の釣り合いが悪くなってしまったから”と言えます。腸管では水分を吸収するだけでなく、逆に腸管の管腔へと水分を分泌もしているのですが、このバランスが崩れて、水分の分泌が増えたり、あるいは、水分吸収が出来なくなったり(吸収量が少なくなったり)すると、糞便中の水分量が増えて下痢になってしまいます。
 水分の分泌が多くなって起こる下痢を「分泌性下痢(または分泌過剰性下痢)」と言い、水分の吸収が悪くて起こる下痢を「吸収不良性下痢」と言います。

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