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笹崎直哉のコラム
顕微鏡を使ってみよう その8

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2020年5月12日

 オンライン英会話レッスンを始めておよそ3週間経過しました。うち2日休んでしまいましたが、発音やリスニング力が身についてきた気がします(※個人的な感想です)。でも語彙力がまだ足りてないぞと痛感しています。うーん、今後の課題ですね。とにかく楽しみながら今後とも頑張っていこうと思います。

 さて今回は血液のお話から少し離れ、尿と顕微鏡検査をテーマについて進めていこうと思います。尿検査といえば尿スティック検査で尿蛋白やpHの測定、潜血反応を判定したり、尿沈渣といって尿中に出てきた細胞成分や細菌(上皮細胞、赤血球、白血球、細菌等)を顕微鏡で調べたりする検査をします。泌尿器系の疾患を疑うケースは血液検査でBUNやクレアチニンの数値をチェックします。こういった尿検査を実施することで感染性かどうか、溶血性疾患なのか、重症か否か等を決めるヒントが得られます。
 尿沈渣は顕微鏡でどんなふうに見えるの?と疑問に思う方が多いと思いますが、健康な牛さんであれば、特別に何か見えるわけではないことが多いです。でも尿結石症であれば以下のような膀胱内に溜まった棺桶型のストラバイト結晶(アンモニウムマグネシウム)や赤血球などが検出されたり、

 感染性の膀胱炎、腎炎であれば尿路系の上皮細胞や赤血球、白血球、細菌などを見ることができます(染色によりさらに詳しく調べることができます)。以前、膀胱炎と腎炎の症例を治療したときに尿を持ち帰り、尿沈渣をかけ、染色をしてみました。すると想像以上にいろいろなものを発見しました。

 白血球と細かいブツブツが目立ちますね。白血球に関しては好中球がほとんどで、その周辺にあるブツブツは細菌(おそらく形状的に桿菌)ではないかと思います。寒天培地で培養をしなかったため、細菌の同定まではできませんでした。しかし牛さんの尿路感染症の原因菌といえばCorynebacterium renaleが多いので、それに該当したのかもしれません。血液塗抹と比べ、尿沈渣の検査頻度は少ないですが、とても重要なスキルになります。

続く

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