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池田哲平のコラム
「牛の解剖90:膵臓(6) ~インスリンと肉質(4)~」

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2011年11月4日

 「血糖値を上げようとする生体内の反応」とは、(1)の時のように体の外から糖が入ってくるのではなく、もともと体の中に貯蔵されている糖のもと(グリコーゲンなど)を糖に変換して血管内の糖の量を増やすことです。動物は、体がエネルギー不足になっている時やエネルギーの消費が大きな行動をする時などには、体の中のホルモンのバランスが変化して、血糖値が上がるのです。

 じゃぁ具体的にどういう時かと言うと、強いストレスを受けた時や興奮状態になった時などです。

 動物はストレスを受けると、それを感じてコルチゾールというホルモンが副腎の皮質(表面側)から分泌され、また、興奮状態では、アドレナリンというホルモンが副腎の髄質(中心側)から分泌されます。どちらも、体に貯蔵されているグリコーゲンや中性脂肪から糖をつくる反応などを促進して、血糖値を上げようとします。

 ここで、ようやくインスリンの登場です。インスリンはこの血糖値の上昇に反応して分泌され、血糖値を下げようとします。ですが、せっかく体の中に貯めていたグリコーゲンやサシ(中性脂肪)を分解されては、インスリンを分泌しても元も子もないですね・・・。

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