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池田哲平のコラム
「牛の解剖89:膵臓(5) ~インスリンと肉質(3)~」

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2011年10月28日

 インスリンのおかげで肉食もよくなってサシも入る!?じゃぁインスリンってどんどん分泌されたらいいのではないか?と思われた方もいるかと思います。しかし実際は、そうじゃないんじゃないかと思われることもあるんです。

 体の中でインスリンが分泌されるのは、主に以下の2つの場合になります。
 (1)血糖値が上がった時
 (2)血糖値を上げようとする生体内の反応に対抗する時

 (1)は主に食餌の後です。食餌から得た糖(ブドウ糖=グルコースのこと、反芻獣の場合はプロピオン酸から合成されます)で血糖値が上がると、膵臓からインスリンが分泌されます。この場合は、食餌から得たたくさんの糖を生体に有益に働かせる(エネルギーにする、グリコーゲンに合成する、脂肪に変換して貯蔵する、など)ために、インスリンは積極的に分泌されて働きます。言い換えれば、いい働きの仕方をするわけです。

 じゃぁ(2)の場合はどうかというと、こちらはちょっと注意が必要です。
(つづく)

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