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池田哲平のコラム
「牛の解剖88:膵臓(4) ~インスリンと肉質(2)~」

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2011年10月21日

 インスリンはブドウ糖の代謝以外では、脂肪の代謝にも影響します。
脂肪の代謝といえば、肥育牛にとっては“サシ”と非常に関係が深いですね。つまり言い換えれば、インスリンはサシにも影響を与えるという事になります。

 インスリンが分泌されると、体の各所にある脂肪細胞では脂肪(中性脂肪)の分解が抑制されるようになって、さらに、脂肪細胞内にますます脂肪酸をため込もうという働きが活性化します。つまり、筋線維の間に入り込んだ脂肪細胞ではインスリンの作用によって脂肪酸が蓄積され、これが“サシ”として目で見える脂肪になるというわけです。

 脂肪細胞は脂肪前駆細胞というものから生まれる(分化する)のですが、脂肪交雑に関わる脂肪細胞は肥育前期〜中期に特に分化が進みます。脂肪交雑を良くするためには、この脂肪細胞という容器に、“サシ”となる脂肪酸を入れてあげることが大切になります。インスリンには、この最後の仕上げである「脂肪細胞に脂肪酸を入れる(脂質合成)」のを促進するという役割があるのです。

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