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池田哲平のコラム
「牛の解剖86:膵臓(2) ~膵液以外に分泌するもの~」

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2011年10月7日

 肥育成績にも関わる膵臓の大切な役割、それは、膵液を分泌する以外に膵臓が持っている、もう一つの大切な機能が大きくかかわっているのです。

 前回紹介したように、膵臓は消化酵素がたくさん含まれている膵液を消化管内に分泌しますが、この機能は膵臓の外分泌と呼ばれています。消化管は厳密に見れば体の外部(外から口の中をたどっていけば腸の中に行けますもんね)になるので、体の外部に分泌するという意味からこう呼ばれています。

 じゃぁその反対は・・・・・・当然、内分泌となります。体の外側ではなく内側、つまりこれは血管の事なのですが、血管に分泌するのが内分泌という事になります。膵臓の内分泌機能がどういうものかと言うと、皆さん一度は聞いた事のある“インスリン”というホルモンを分泌する事です。インスリンは体内で唯一の血糖値を下げるホルモンであり、この働きが落ちると血糖値を下げる事が出来なくなってしまうので、糖尿病になってしまいます。

 そして実は、このインスリンの分泌が、肥育成績に影響を及ぼすかもしれない重要な要素なのです。

 〜〜余談〜〜
 膵臓では内分泌としてインスリンの他に、グルカゴン(インスリンに対抗する役割=血糖値を上げる)、ソマトスタチン(インスリンとグルカゴンの量を調節)、膵ポリペプチド(機能不明)が分泌されています。

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