(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
蓮沼浩のコラム
第617話:言葉にできない・・・

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2020年5月7日

 最近かなり気温が高くなってきています。服装は夏バージョンに変更です。今まで以上に体調管理をしかりとしていきたいと思います。

 小生がいつも往診に行くある農家さんに元気がありません。この農場は約130頭の肥育牛を管理している肥育専門の農家さんになります。小生は今ここの農場で「肝臓廃棄をいかにして減らすか」というテーマを設けて一緒にとりくんでいます。枝肉成績はすべて見させていただき、データをとっているので内容も把握しています。世間一般からしても成績は非常に素晴らしいと思います。
令和2年になってから現在までまだ14頭しか出荷はしていませんが、この14頭の成績は以下のようになります(表1)。


表1

 もちろん死亡事故はゼロです。頭数は多くありませんが、大変成績のよい農場になります。今年に入ってからA5のBMS12番が7頭出ています。11番が4頭、9番と8番が合わせて3頭です。昨年ももちろん成績は抜群によいです。

 しかしですね・・・・・・

 先日出荷した3頭の肥育牛は大赤字でした。この3頭の成績は以下のようになります(表2)。


表2

 大変素晴らしい内容になります。これ以上の成績を出せといっても、とてもじゃないけれども簡単にはできません。

 農家さん「蓮沼先生、もうこれ以上は無理です、本当に厳しいです!」

 ハス 「・・・・・・・・」

 本当になんと言ってよいのかわかりません・・・

 日銀短観では3月の報告で「宿泊・飲食サービス」は過去に例のない数字がでています。大企業を見ると-59、先行きでは-61というデータです。もちろん中堅や中小もめちゃくちゃ厳しい数字がでています。「宿泊・飲食サービス」がこのような状況なので、インバウンドや外食でのこれからの消費拡大は相当厳しいものがあると予想されます。輸出も今後の見通しは今のところ不明です。

 1993年にガット・ウルグアイ・ラウンドが決着し、牛肉の関税が平成12年度以降38.5%になることが決定しました。そのために、日本の牛肉業界は高品質なもので世界と戦っていく方向性を打ち出し、現在まで先人達のたゆまぬ努力で幾多の困難を乗り越えてきました。これからの日本の肉用牛業界はどのような路線を進んでいくのか。未来はもちろんわかりませんので何とも言えませんが正念場が続きそうです。

 今回は暗い内容のコラムになってしまいました。次回は趣向を変えた内容にしたいと思います。

今週の動画
「 チューブを使った経口投与 Oral administration with a tube. 」

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