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笹崎直哉のコラム
顕微鏡を使ってみよう ~炎症について再考~

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2020年4月21日

 皆様お疲れさまです。この前の休日は思い切って長距離を走ってみました。片道13kmのコースだったので「13kmを走りきる」と意気込んでました。しかし、ゴールした途端「あ!また戻らないといけないんだった!」と気がつきました。かなり初歩的なミスです。結局2時間44分かけて26kmを走破しました。しんどかったです。帰路は自転車に乗っている人達をみて、とても羨ましくなりました。今度はしっかりとコースを考えてジョギングするように気をつけます。
 
 
 さて前回は炎症と好中球の関係について紹介しました。そこで今回はせっかくなので「炎症」について考えてみます。

 皆さんは風邪で熱や咳が出たり、細菌感染で膿んで痛いときなんかは「このバイ菌め!どうしてくれるんだ!」と腹立たしくなりませんか?

 でもよく考えてください。発熱の原因はウイルスですか?膿んで痛いのは細菌ですか?これらの病原体は自分の生存空間を求めて、体内に侵入しただけです。

 少し振り返ってみます。発熱、痛み、腫れといった現象は「炎症」によるものです。ウイルス性なら細胞性免疫によるリンパ球性炎症、化膿菌なら前回紹介したように体液性免疫による化膿性炎症になります。どちらの炎症にせよ、引き金になるのは自分がもつ白血球・リンパ球ではありませんか?マクロファージ、NK細胞、細胞傷害性T細胞、好中球などの細胞や補体がこれに該当します。

 すなわちこれらが防御活動を行うことで炎症という苦痛を生み出しています。炎症によるこの「苦痛」がなければ、自分が病気だと気がつきません。そうすると普段通りに生活してしまうので、病気はどんどん進行し感染が広がっていくでしょう。

 このように白血球による炎症が「痛み、腫れ、熱」を引き起こすからこそ、ヒトも動物もそれを治すために行動します。現在は薬剤耐性菌の問題が出ていますが、そもそも炎症が誘導されにくいウイルスや細菌がどんどん増えて体内に侵入したら、厄介なことになりそうです(汗)。

 今回少し脱線しましたが、次回は顕微鏡をテーマに紹介しますね~。

つづく

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