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笹崎直哉のコラム
顕微鏡を使ってみよう その6

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2020年4月14日

 最近ハマっているランニングですが、先日気合いで早起きし、早朝ランニングをしてみました。寝ぼけた状態で走りはじめたので、体に相当な負荷がかかり、いつも以上に疲れました。結局20分11秒走ってギブアップでした。強い海風に打たれても、気持ちよく1時間ぐらい走れるようになりたいものですね。う~ん。かなり先の話になりそうです。
 
 
 さて今回は好中球についてです。牛さんだと白血球のうち20~50%を占めます。ヒトと比べると割合は少なめです。好中球は炎症時に大活躍の白血球です。赤く腫れあがったり、熱をもって痛くなったり、そういった炎症組織に集まり病原体と貪食したり、殺菌能力をもつ顆粒を放出したりすることで、病原体(特に化膿菌)の退治をしてくれます。さらにマクロファージと同様に非特異的な1次防除(自然免疫)として異物と戦ってくれます。顆粒といえば前回紹介した好酸球も顆粒があります。好中球は中性色素に染まる顆粒ですが、好酸球は酸性色素に染まるので血液塗抹では色調が違ってきます。
いざ顕微鏡で見てみると好中球の核形態は様々です。そこで臨床現場では好中球の核の形に注目し、主に2つに分類しています。

 それが桿状核と分葉核です。桿状核は若く、分葉核は成熟タイプになります。成熟するにつれて多核化するイメージです。桿状核は基本的にゼリービーンズのような形をしています(今回示したタイプは核にくびれがあるので、典型的な桿状核とは言えません)。分葉核は核が分裂して分かれているように見えますが、実は核糸というものでつながっています。一般的に末梢血液中のメインは分葉核好中球ですが、甚急性あるいは急性炎症時には桿状核好中球も登場することがあり、発見時には診断のヒントになります。

つづく

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