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蓮沼浩のコラム
第614話:Check その3

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2020年4月16日

 小生の好きな新緑の季節になりました。最近は木々をみるととても心が癒されます。昔はそんな事全くなかったのですが・・・。

 牛さんの獣医師の間では「黒毛和種は病気に弱い」という意見があります。これはいわゆる「抗病性」というものに関しての意見になります。肉用牛の獣医師である小生は牛の診療をたくさんしてきましたが、確かに黒毛和種はF1やホルスタインと比べて、特に若齢時に病気になりやすいと思っています。種による違いはかなりあるのではないでしょうか。どうしても黒毛和種の場合は品種改良が増体重と高品質の枝肉を作ることに主眼がおかれてしまっていることも、その要因の一つかもしれません。現在はBLVに対して抵抗力のある種雄牛の作出などが行われています。今後「抗病性」という概念も種雄牛作出で重要なポイントになってくるかもしれませんね。肉養鶏の世界では病気にめちゃくちゃ強い品種がつくられ、抗菌薬の使用量が激減した事例があります。
 「抗病性」を上げるためにはワクチン接種も重要になります。ワクチンを投与することで、特定の疾病に対する「抗病性」は上がります。例えば牛RSウイルスなど、ワクチンを投与していることで完全ではないものの、かなり防ぐことができます。爆発的に牧場内で呼吸器病が広がる場合など、あくまでも小生の経験の範囲ですがワクチン接種をしていないケースが多いですね。しっかりとしたワクチンがある疾病は対処がしやすいので本当にありがたいです。

 今回世界中で大問題となっているcovid-19の感染状況を自分なりにCheckしてみると非常に不思議に思うことが多々あります。その中のひとつが各国の感染者数と死者数のデータです。4月15日のデータをちょっとグラフにしてみて唖然としました。

 日本は検査数が少ないといっても、いくらなんでも、あんまりでしょ・・・。
 小生はどのようにこの結果を解釈したらよいのかさっぱりわかりません・・・。

 すべては今後の研究結果にゆだねられると思います。ただあくまでも小生の勝手な推測ですが、日本人はcovid-19に対して文化や習慣を含めて結果として「抗病性」は高いといえるのではないかと、いろいろなデータや報告をみながら思いました。日本と比べて検査数が多い韓国も似たような状況ですね。疫学の視点から報告されている「BCGの接種がcovid-19の予防に効果がある可能性」についても非常に興味があります。まだはっきりとしているわけではありませんが、もしも「100年前に牛さんの結核菌から作られたワクチン」が完全ではないけれども守ってくれているのであれば、先人たちに本当に感謝の言葉しかありません。今までの歴史もそうですが、日本という国は本当に不思議な国だと改めて思いました。

今週の動画
 「 徳利結びⅡ Clove hitch Ⅱ 」

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