
|
|
肺炎はとてもありふれた病気ですが、獣医さんが最も恐れる病気の1つでもあります。というのも、肺が悪くなると全身に行き渡る酸素が少なくなって、発育も抵抗力も低下するからです。 それから、肺炎の病原体は「空気感染」という伝染の仕方をします。伝染の仕方には、接触感染、血液感染、経口感染、飛沫感染、などがありますが、空気感染は文字通り空気の中に病原体が広がっていきますから、敵がどこから来るかも分かりませんし、急速に感染が広がる可能性が高いので、それだけ予防しにくい、という特徴があります。 肺炎の病原体には、大きく分けてウイルス・細菌・マイコプラズマがあります。この他、牛肺虫や乳頭糞線虫などの寄生虫も肺炎の原因となりますが、これらは空気感染をするわけではありませんから、また別の機会(寄生虫のお話しの時にでも)にお話ししましょう。 さて先ほどあげた3種類の病原体のうち、最初に悪さをするのはウイルスです。ウイルスが肺の粘膜にとりつくと、肺が元々持っている防御システムを壊してしまうので、細菌の2次感染を受けやすくなってしまうのです。マイコプラズマも肺の粘膜の繊毛(粘膜の細胞の表面にあって、肺に入ってきた異物を掃き出す役目をします)を食べたり、免疫を攪乱したりするため、肺炎の原因となりますし、細菌の2次感染の引き金になる場合もあります。
|