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戸田克樹のコラム
第281話「ふたつの血尿④」

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2020年4月15日

日ごろから診療車内のにおいを消そうと奮闘しております。これまでいくつもの消臭剤や芳香剤を試してはや6年…。ついに出会いました!その名も「ペットのにおい撃退!」というシールが貼られた消臭剤。これを使って2日が経ち、すでに車内はにおいがありません。奇跡でしょうか。ペットのにおいではないのに、効果テキメンでした。

必要な検査その②超音波検査

次に実施すべきは超音波(エコー)検査です。見るべきところは「膀胱」です。

ワラビ中毒というものを聞いたことがありますか?今となっては発生すること自体珍しい病気でしょうが、放牧牛がかかりやすい病気のひとつです。牛さんの場合、ワラビを食べるとワラビ中の「プタキロシド」という発がん性物質の影響で膀胱に腫瘍ができてしまうのです(ちなみに馬さんではワラビ中のビタミンB1分解酵素によるB1欠乏性の神経症状が問題になります)。
腫瘍組織というのは血管組織の浸潤が激しいことや組織自体がもろいこともあり、出血しやすい特徴があります。そのため、血尿を見つけたら膀胱粘膜表面に腫瘍ができていないかを確認する必要があります。

小さい腫瘍であれば消炎剤の投与などで治癒することもあります。しかし、ある程度大きくなってしまった場合や貧血や食欲不振などの全身状態の悪化がすでに生じているケースでは廃用となってしまうこともあります。できれば出会いたくないケースですね。

つづく

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