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池田哲平のコラム
「牛の解剖77:肝臓(1) ~マルチプレーヤー~」

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2011年7月29日

 動物が食べ物を消化していくとき、食べ物は消化管の中をどんぶらこ〜どんぶらこ〜、と流れていって消化・吸収されていく訳ですが、これはこれまでに紹介した消化管だけの働きだけでは、到底出来るものではないのです。動物の体の中には、消化を助けるために消化管をサポートする「消化管付属器官」と呼ばれる臓器がいくつか存在します。
 今回から紹介する肝臓もその一つです。前回までのコラムで話していた脂肪壊死症の時にも出てきましたが、この時は“脂肪の代謝”に関わる臓器として紹介しました。この他にも“毒素の代謝”や“止血因子の産生”など、細かいものまで含めると、肝臓には500以上もの働きがあると言われています。まさに、一人で何役もこなすマルチプレーヤーの様な臓器です。
 今回からのコラムでは、その中でも特に消化に関わるところをメインにして、体の中の状態と実際の生産現場での外から見た状態を交えながら見ていきたいと思います。
(代謝に関係するところなどは、桐野有美の過去コラムを参照ください)

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