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原田みずきのコラム
へその緒が2本!?②

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2020年4月3日

今朝農家さんから薬の注文の電話をもらったときのことです。

農家さん「そういえば、今朝ミルクをあげているときに3匹生まれたよ。」
私   「えっ、3匹もですか!?」
農家さん「うん。猫の話ね。」

牛の3つ子かと思って焦りましたが、どうやら農場に住み着いている猫が子を産んだようです。薬を届けたときに猫の赤ちゃんを見せてもらいました。とっても可愛かったです。

そういえば猫の受胎率はほぼ100%だそうです。交尾のときに排卵するためです。牛も見習ってもらいたいものですね。こちらの農場ではこのあと別の猫も出産したそうです。猫の出産シーズンはまだまだ続きます。
 
 
ながーい前置きはここまでにして、前回に引き続き、牛の「臍静脈遺残」についてお話していきます。前回のコラムでは臍には4本の管(臍動脈2本、臍静脈、尿膜管)が通っていて、正常な出産では千切れて体内に残るとご説明しました。臍動脈は強く収縮して膀胱付近に残り、臍静脈と尿膜管は臍部に残り、いずれの管も子牛の成長と共に退行していきます。

しかし、お産の際に強く引っ張りすぎたりすると、稀に臍動脈が臍から脱出した状態で生まれてしまうことがあります。この病態を「臍動脈遺残」と呼びます。脱出した臍動脈からは出血が見られることが多いです。これは臍動脈が内腸骨動脈につながっているためです。

では、「臍動脈遺残」の子牛が生まれてしまったら、どう処置すればよいのでしょうか。文字制限が来てしまったので、次回のコラムでご説明させていただきます。

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