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池田哲平のコラム
「休題:牛の体温(1) ~電子体温計と水銀体温計~」

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2011年6月24日

 ここ最近、と言ってももうかれこれ一年くらいになるのですが、普段ウシの診療を行っていて非常に気になることがあるのです。それはそれはもう非常に気になって、そのために診療の時間が非常に長くなってしまう事もあるくらいに……

 それは、牛の体温についてです。

 昨年、環境への影響を考慮して(だと思っているのですが…)、水銀ガラス体温計の製造が中止になりました。それからと言うもの、私が今使っているのはもっぱら人用の電子体温計です。
 水銀体温計はガラス製で非常に割れやすく、割れたガラス片がその鋭利な形状から物理的に危険なのはもちろん、中身の水銀も環境中にむやみに流出させてはいけない化学的・生物学的に非常に危険な物質です。時には牛舎の鉄柵にぶつけ、時には牛のしっぽによって遠くへ投げ飛ばされて割れ、時には牛の機敏な尻の動きによって半分お尻に刺さったまま真っ二つにへし折られ……と、幾度となく環境汚染に加担してしまった水銀体温計(と私)なのですが、もっぱら、「牛の体温を計測する」というその主たる役割においては非常に使い勝手が良かったです。体温を測っていて、特にストレスを感じたこともなかったです。

 が、電子体温計に変わった現在、様々な問題が散見されだしています。(つづく)

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