(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
池田哲平のコラム
「脂肪壊死症を考える(9) 〜治療法は?その2〜」

コラム一覧に戻る

2011年6月10日

 脂肪組織などの中の脂肪細胞は一度出来た後でも、常にその中身を更新しています。仕上げ期の給餌で添加する脂肪の成分を変更すると、食べたときの脂質の風味や口当たりが変わるのはこのためです。またエサ食いが悪くなったりしてエネルギー不足になった時には脂肪がエネルギー源として使われます。この様に、脂肪が様々に変化することを“脂肪代謝”と呼びます。脂肪代謝は体のあらゆる場所で行われていますが、その大部分は肝臓で行われています。つまり、体の中の脂肪と肝臓とは切っても切り離せない関係なのです。
 脂肪壊死症の原因の一つにこの脂肪代謝に異常が起こっている事が言われていますが、つまりは肝機能が低下しているもしくは肝臓に異常が起きている事が考えられています。そこで、脂肪壊死症の治療の大筋の一つには肝機能を回復させることが挙げられます。
 具体的には、高張糖液(ブドウ糖、キシリトール)や強肝剤(パントテン酸Ca、メチオニン製剤、ウルソデオキシコール酸など)の静脈内注射を行うと共に、強肝剤の継続的な飼料添加(バイパスメチオニン、バイパスコリン、ベタイン、パントテン酸Caなど)を行ってもらいます。

|