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脂肪壊死が形成された牛では、その壊死塊の大きさや出来た部位によって様々な症状を示します。私たちが往診で呼ばれる場合、最初の稟告の多くは“食欲不振”です。 「最近ちょっとずつ餌食いが悪くなっている」というようなゆっくりと進行する場合が多いですが、「今日急にパタッと餌食べなくなっちゃって」といった感じで突然症状を示すものもいます。疝痛様症状(お腹を蹴る)や挙尾を伴ったり、聴診すると右体側に金属性有響音(ピング音)が認められたりする事もあります。 そして多くの場合、便性状の異常が認められます。多くの成書にはキーワードとして“兎糞状の便(ウサギの糞のように固くてコロコロした便)”という言葉が上がっているのですが、注意しなければいけないのは、必ずしもそういう便を排泄するとは限らないという事です。直腸検査で手が奥に進まないほど狭窄してしまっている脂肪壊死症でも、便性状の異常が見られないものもあれば、粘液の混じったオレンジ色の下痢を排泄することもあります。現場で診療していると、兎糞状便よりもむしろこのような異常な下痢を見るときのほうが多いです。
肥育後期〜仕上げ期の牛がいつもと違う感じの下痢便をしていたときは、要注意です。
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