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池田哲平のコラム
「脂肪壊死症を考える(4) 〜どうやってできるのか?〜」

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2011年5月6日

 つまり、あの硬い硬い脂肪壊死塊の正体は、中性脂肪が脂肪酸とグリセロールに分解され、脂肪酸が石鹸化されたものなのです。では、どのようにして中性脂肪が分解(変性・壊死)してしまうのでしょうか?
結論から先に言ってしまうと、はっきりとした原因は分かっていないのが実情です。
 現在考えられている要因としては、1)膵臓からの脂肪分解性酵素の漏出による脂肪融解、2)肥満による脂肪組織の圧迫・虚血壊死、3)脂肪動員亢進(脂肪がエネルギー源として使われる)に関連した脂肪分解の障害、4)高脂肪・低ビタミンEの食餌、6)エンドファイト中毒、7)内分泌障害、8)遺伝的素因(血統)、などが挙げられています。脂肪壊死症は、これらの要因のうちどれか一つによって引き起こされるという事でもなく、複数が関連して脂肪壊死に陥ると考えられています。
 また、直接脂肪壊死に陥る原因にはならないのですが、育成期に太り過ぎだったウシは、平均的なウシに比べて脂肪壊死症になるリスクが高かったというデータも出ています。
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