(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
池田哲平のコラム
「脂肪壊死症を考える(6) 〜どんな症状?その2〜」

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2011年5月20日

 そして、便性状の変化以上に注意しなければいけないのは、便性状の変化が認められない場合です。これまでと全く逆のことを言っていますが、これは要注意です。
 何て言ったって肥育牛は餌を食べてなんぼの生き物です。その肥育牛が餌を食べなくなった時、下痢をしていたらこれが原因だとぱっと結びつきますが、ふと良い便をしようものなら「おなかの中は大丈夫なんだ」と思ってしまいがちです。これに加えて、前回書いたその他の症状(疝痛様症状・挙尾・ピング音など)も見られない時などは、診断が手詰まりになってしまう時もあります。
 しかしながら、餌を食べたくてしょうがない肥育牛(繁殖母牛もですが)が餌を食べないときは必ず何かあります。私はこういった時、必ず直腸検査を行うようにしています。そこから得られる情報は聴診や視診と同じかそれ以上のものです。食欲不振以外ほとんど無症状の牛に、大きな脂肪壊死塊が見つかった時もあります。

「直検をやって損な事は何一つない。あ、手袋代くらいか・・・

尊敬する先輩獣医師から言われた一言ですが、非常に心に残っています(前半部分)。

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