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第277話「膣検査と直腸検査の意義って何だろう⑤」

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2020年3月18日

いざ、直腸検査をやってみましょう。
用意するのは直腸検査用手袋とローションの2つのみ!

ローションの代わりに石けんや食用油を使用する方もいらっしゃいますね。これがないとなかなか肛門から手が入らず、牛も人もたいへんな思いをすることになります。余計な労力やストレスをかけないためにも潤滑剤は意外と重要です。

肩までしっかり牛の直腸に手を入れたら、直腸粘膜をなでるように全周囲を探索していきます。

触れる範囲は漏れなく触っていきましょう。脂肪壊死塊はないか、直腸粘膜の浮腫はないか、腹腔内リンパ節の腫大はないか、そういった「何か異常があるかもしれない」という意識をもちながら行うとよいですね。手を進めるときも、腸壁を触るときも優しさを忘れてはいけません。腸壁はデリケートなので、雑に扱うとダメージを受けすぐに出血してしまいます。

脂肪壊死塊があれば大きさを手のひらで計測して重症度を判定できます。
全周囲を囲むようにあるときは手が入るかどうかもポイントになります。

触れる直腸粘膜がブヨブヨしていれば粘膜が浮腫をおこしていることが分かります(重篤な腸炎やビタミンA欠乏などによって粘膜の脆弱性が高まっている状態)。腹腔内リンパ節が大きくなっていれば牛白血病の可能性が出てきますね。

直腸検査には外からでは見つけられない異変を感知できるメリットがあります。ここだけの話ですが、直腸検査は小動物臨床の先生たちから「牛はいいよな~。おなかの中も手で触れるから。」と、うらやましがられる検査なのです!(小動物の先生方は高画質エコーで腹腔内探索ができますけどね…。)

何十年も前から行われている非常に古典的な手法ですが、道具が少なく、「手を入れて探る」だけなので慣れれば誰にでも実施可能な検査です。
ぜひ積極的に日常検査に取り込んでみてください。

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