2020年3月16日 最近は、種雄牛の体格がよくなり(過ぎ?)、お産の時に子牛がデカいことが多いですよね。お母さん牛が大柄だからと安心してると、「いや、さすがにおっかさんがデカいと子牛もデカいや(^_^;)」というケースもあります。 このとき、産道が十分広いと、まだ苦労せずにお産させられるのですが、産道が狭い、というか十分に広がっていない場合、赤ちゃんの頭や胸、腰などが引っかかって出ない場合もあります。早めに判断して帝王切開、というのがセオリーですが、やはり農家さんも獣医さんも、出来るだけお母さん牛を傷つけたくない、という想いで、なんとかならないかと粘ります。 こういう場合、産道を広げる方法を知っていると、お産介助の1つの武器になります。「そうは言うけど、産道の周りは骨で囲まれてるから無理じゃん!」って言われそうですね(図:産道1)。 しかし骨で囲まれていると言っても、産道は実は1つの骨の孔というわけじゃないのです。左右の寛骨(骨盤)が牛さんのおなか側で恥骨結合という関節でつながっていますし、背中側は、背骨(仙骨)と寛骨の腸骨翼と仙腸関節という関節でつながっているのです。というかこれらの関節は、腕や足の関節と異なり、「くっついている」という表現の方が分かりやすい構造なのです。 信じられない人は、お母さん牛のしっぽの根元をつかんで上下に動かしてみてください。マッサージする前は「仙骨」の部分は動かず、しっぽの付け根から動くだけですが、マッサージをした後はしっぽの付け根ではなく、それまで骨盤の一部だった「仙骨」から動き出すはずです。緩み方の強いお母さん牛さんでは、産道に手を入れて、上の方を指で押してみると寛骨と仙骨の間に指を動かす動きが見えてくることも多いです。 |