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さて、回腸に続くのは盲腸です。回腸のところでも少し触れましたが、盲腸は回腸と腸間膜でつながっていて、二つの臓器は併走するように位置しています。他の動物に比べて、ウシの盲腸は体の大きさの割には小さくて、長さも短いです。ですがその一方で、盲腸は腸管の中で最も幅の広い部分でもあります。ガスが充満したときなどには著しく拡張して、他の臓器を圧迫する原因にもなります。他の消化管のように管状ではなく、風船のように一端が閉じて盲端になっている盲腸は、発酵異常などの際に産生される過剰なガスが溜まりやすい場所であるといえます。盲腸より下流の腸管で腸捻転や脂肪壊死症などが発生して通過障害が起きると、盲腸では食渣の滞留やガスの発生が非常に起きやすくなります。その結果、著しい疝痛症状や食欲不振を示す場合もあります。内科的に消化管運動亢進薬などを使って改善する場合もありますが、ひどい症例では開腹して直接ガスを抜いたり、通過障害の原因を除去したりする必要があります。 |