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池田哲平のコラム
「牛の解剖69: 回腸(2) ~遠位部は危険部位~」

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2011年1月14日

 牛海綿状脳症(BSE)という病気の名前は、もちろん皆さん知っていると思います。ですが、その実態や正確にはどういう病気なのか、なぜ危険な病気として位置づけられていて処理段階で検査が必要なのか、など、案外あいまいにしていて知らないことが多い人もいるのではないでしょうか。
 すごく大雑把に言ってしまえば、「BSEという病気は牛の病気ではあるが、人にもうつる可能性があるもので、その病原体が蓄積しやすい部位は食肉として流通させることは出来ない」ことになっているので、法律に基づいて、回腸・脳・脊髄・眼球※H27年3月より、30ヶ月齢以上の頭部(舌、頬肉、皮以外)・脊髄・脊柱・回腸遠位部)はBSEの病原体の蓄積度合いから判断して“特定危険部位”という特別のものとして扱われ、除去・焼却処分することが決まっています。回腸に関しては、正確には“回腸遠位部”とされていて、回腸が盲腸につながる出口(回盲口)の部分から2mと定められています。ですので、牛の回腸は食品衛生の点から見た場合、非常に重要な部位として扱われるのです。
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