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池田哲平のコラム
「牛の解剖68: 回腸(1) ~食品衛生として重要な部位~」

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2011年1月7日

 明けましておめでとうございます。今年も少しでも皆様のお役にたてるようなコラムにしていきたいと思っています。解剖と言うちょっと小難しい内容ですが、臨床の話と繋げて分かりやすく紹介していけるように努力していきます。

 さて、長くて曲がりくねった空腸に続いてみられるのは、とても短くてほとんど真っすぐな消化管である回腸です。空腸と回腸の境界部というのは、盲腸によってはっきりと分かります(ウシの解剖64または前回の図を参照)。うねうねと蛇行を繰り返しながら伸びてきた空腸が、盲腸の位置まで来たところで盲腸と腸間膜でつながっている部分がでてくるのが分かりますか?この部分からがちょうど回腸と呼ぶ部分になります。ちなみに、この腸間膜には“回盲腸ヒダ”という特別な名前が付いています。
 実はこの回腸と言う部位は、食品衛生上とても重要な部位になっているのです。
 どう重要かと言うと、ご存じの方も多いかと思いますが、この回腸はBSE(牛海綿状脳症)の特定危険部位として指定されていて、食肉には出来ないと決められている部分なのです。次回からはこの事について少しお話したいと思います。

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