(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
蓮沼浩のコラム
第606話:オーストラリア肉牛産業事情視察 その12

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2020年2月20日

 先日、出張で飛行機に乗ったら機内も空港もマスクの人だらけでした。もちろん小生もマスクをつけていましたが、これからは外出時にマスクをつけることが常態化するかもしれませんね。ウイルス以外にもPM2.5や花粉などもあるので、もしかしたら良い事なのかもしれません??
 
 
 今回何故オーストラリアに小生は行こうと思ったのか?

 その理由は大きく以下のようになります。

 1. 日本が一番牛肉を輸入している国の畜産現場を見てみたかった。
 2. オーストラリアにいる和牛を実際に見てみたかった。
 3. オーストラリアの牛肉を現地で食べてみたかった。
 4. オーストラリアの国民に和牛がどのくらい浸透しているのか確認してみたかった。
 5. 日本の和牛の肉がオーストラリアで売れるのか知りたかった。
 6. オーストラリアの獣医療を見てみたかった。

 そして、何よりもこれからTPP11で貿易関税が下がり、なおかつ最終的にはセーフガードもなくなることから、大量にオーストラリアの牛肉が日本に入ってくると思い、いてもたってもいられなくなったという気持ちも大きいです。

 で、実際にオーストラリアに行ってみると、そこは小生が思ってもいなかったトンデモない事態になっていました。

 「大旱魃と広がる森林火災」

 見渡す限りの砂漠化した大地。あまりのスケールの大きさに愕然としました。森林火災も尋常ではない被害がでています。小生が訪問した11月にくらべて現在状況は大幅に悪化していると思われます。オーストラリアの農家さんの苦悩も半端ないことが良くわかりました。最初はこれから日本の畜産にとってかなり強力なライバルになると思い、「敵情視察」する気持ちでいましたが、現場の状況を見てそれどころではないという気持ちになりました。

 今、フェイクミート(代替肉)や培養肉の開発がものすごい勢いで進んでいます。ある食肉関係の会社の社長さんの挨拶の中で、2022年にはフェイクミートは相当広がっているだろうという話もありました。培養肉はもう少し時間がかかりそうです。しかしどちらも強力な牛肉のライバルになることは間違いないでしょう。今後の動きに注目です。

 あの凄まじい大旱魃の大地を前に、田舎の鼻くそ獣医師である小生はただただ茫然と立ち尽くしました。世界には本当に難しい問題が沢山あります。あまりにスケールの大きな話が多くて途方にくれますが、鼻くそなりに出来ることをコツコツ頑張っていこうと思います。

今週の動画
 「 牛の歯 About Bovine teeth 」

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