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原田みずきのコラム
角の話②

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2020年2月14日

今回からのコラムでは牛さんの角関係の病気(怪我)についてお話していきます。

・鞘抜け・角骨折

牛が喧嘩などで角を強くぶつけると、角鞘が抜け落ちたり、角突起が折れたりします。
角鞘が抜け落ちることを「鞘抜け」、角突起が折れることを「角骨折」と呼びます。発生頻度としては鞘抜けのほうが多いです。
いずれの場合も、かなりの量の出血を伴います。これは角にも血管が通っているためで、血管と一緒に神経も通っているため、痛みも激しいと思われます。
鞘抜けや角骨折の治療は必ずしも必要なわけではありません。そのままの状態にしておいても出血は自然と止まり、傷口が固まることが多いです。ただ、感染のリスクなどもあるので治療を希望される農家さんもいらっしゃいます。当診療所では受傷した角を包帯で覆う治療を行っています。手順は以下のとおりです。(この先にちょっと痛々しい写真があります。)

① 受傷した角に付着しているゴミを取り除く。角鞘が残っている場合は感染の原因となるので取り除く。

② 角の根本から8の字を描くように包帯を巻いていき、受傷した角をすべて覆う。

③ 受傷した角に希ヨーチンをたっぷりとかける。出血が激しければ止血剤、化膿していれば抗生剤を打つ。

④ 3日後くらいに頭頂部あたりで包帯を切る。包帯は自然に脱落するまでそのままにしておく。

処置後の牛はターバンを巻いているみたいでちょっと可愛いですね。包帯とヨーチンがあれば簡単にできる処置なので、牛の角が折れてしまったら試してみてください。

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