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松本大策のコラム
「おっぱいが原因で起こる下痢(繁殖のお話) その4」

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2006年12月22日

 それから時折見かけるのは、エサ(濃厚飼料)の給与量が多すぎておっぱいが出すぎている、というケースです。牛さんの乳首ってビヨーンと長いでしょ?人間の乳首とはぜんぜん違います。牛さんのあの長い乳首の中は、乳管洞という空洞になっているので、そこにたまったおっぱいが一搾りであんなにたくさん搾れるのです。
 ところが濃厚飼料を多給しすぎておっぱいが出すぎると、子牛が飲み残したおっぱいが乳管洞のなかで腐ってしまうことがあるのです。次におっぱいを飲むときに、子牛はこの腐ったミルクを飲まなければならないので簡単にお腹を壊してしまう、というわけです。
しかも子牛はお腹を壊していても、この腐ったミルクを飲み続けなければならないので、下痢がなかなか止まらないのも当然ですよね。
 こういう子牛の気持ちを理解するいい方法があります。用意するのは牛乳とコップくらいでオッケー。まず、コップに牛乳を注いで半日ほど日なたに放り出しておきます。あとは、腰に片手をあてて、それを一気に飲み干しましょう(よい子はやっちゃだめだよ)。きっと翌朝にはお腹がぐるぐるになって子牛の気持ちが分かるでしょう。完璧を目指したいあなたは、下痢ピーピーになっても、さらに腐ったミルクを飲み続けるとよいでしょう。きっとお医者さんにかかっても、腐ったミルクを飲み続ける限り下痢は順調に続いてくれるはずです。
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