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戸田克樹のコラム
第272話「牛の目薬③」

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2020年2月12日

ステップ②点眼薬の使い方

牛の目にまつわる病気の場合は細菌感染によるものがほとんどです。
新しい床料にテンションが上がって牛が走り回ると粉塵が舞い、それが目に入って雑菌が感染するケース。目がかゆくて柵や飼槽でこすった結果、そこにいた雑菌が感染するケース。角で目をつかれて傷がついてしまいそこに感染するケース。座って反芻していたら同居牛が顔に下痢便を飛ばしてきてそれが目に入って感染するケース。様々なケースが考えられますね。

細菌感染とくれば、頼りになるのは抗生剤です。粘膜面への刺激があるので、薬剤は生理食塩水で希釈してあげましょう。目に行きわたらせることができればいいので、普段投与するような分量は必要ありません。抗生剤1mlを5~6ml程度の生理食塩水で薄め、1日に1~3回程度その目薬を点眼してみてはいかがでしょうか。

効果がある細菌の種類が多く、結膜炎の原因として有名なモラクセラボビスに効果があるテトラサイクリン系の抗菌薬を選択する機会が多いですが、それで改善しない場合はキノロン系の薬剤を試してみてください。なかなか治りが悪かったのに、それでよくなったケースが結構あります。

最初に掲載した目ヤニの止まらなかった牛もここまで回復してくれました。

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