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蓮沼浩のコラム
第603話:オーストラリア肉牛産業事情視察 その9

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2020年1月30日

 最近時間をかなり意識して行動するようになりました。限られた時間をいかにして有効に使っていくか。全力で取り組むべき小生の課題です。

 今回の視察では、オーストラリアのスーパーマーケットの食肉コーナーを見て回るという時間がありました。オーストラリアのスーパーの二大巨頭であると言われている、ColesとWoolworthに突撃です。これらのスーパーは色々な地域にあるので、とにかく小生は待ち時間などちょっとした隙間時間があれば、片っ端からスーパーの中に入り、お肉屋さんに行って質問してきました。

 質問事項はズバリ「和牛の肉はありますか?」

 今回小生は一人で肉屋さんを10軒程度見てきたと思います。そして、上記の質問をすべてのお店でしたのですが、残念ながら和牛の肉を置いているお肉屋さんは「ゼロ」でした。シドニーとかメルボルンなどの都会であればおいてあるところはあると思うのですが、ちょっと田舎のスーパーには、小生が回った範囲ですが一ヵ所もありませんでした。一軒だけブラックアンガスの肉が置いてありました。この肉は包装が黒を基調としてあるので高級感があります。なおかつ万引き防止用のセキュリティーシールまで貼ってありました。なかなかの待遇ですね。しかし、小生の目では他の肉と肉質の違いが全く判りませんでした。外見はほとんど同じです。下手すれば、統一耳標などもないので簡単にヘレフォードの肉をブラックアンガスの肉にかえてしまうことが出来そうです・・・・。

 次にホテルの受付の人やバスの運転手さんやお店の方など10人ほどに「和牛の肉を食べたことはありますか?」と質問してみました。その結果、ナント一人も食べたことがあると答えた方がいませんでした。

 「ないけどチャンスがあれば挑戦したいね!」

 「非常に高級な肉だろ?」

 「和牛ってなんだ?」

 などの回答がありましたが、興味深かったのは二人の方から言われた内容です。

 「和牛の肉は中国の金持ちのビジネスマンが食べるんだろ?」

 オーストラリアでは中国の金持ちのビジネスマンが食べている印象があるのですね。何故か日本人ではないです。

 今回お邪魔した牧場のオーナーさんは和牛の肉を食べたことがあるとのことでした。そこで「和牛の肉はどうですか?」と質問すると・・・・

 「Too fat rich !(脂が多すぎる!)」と即答されました。

 オーストラリアは大きな肉の塊をステーキにして食べます。確かにステーキにして焼くと肉が脂まみれになってしまうので、このような回答だったのでしょう。

 あくまでも小生のほんのわずかなオーストラリア滞在での印象ですが、和牛の肉をオーストラリアの人たちに販売するのは簡単ではなさそうに思いました。特に高級肉を高く売るのは大変そうです。よく言われていますが、ただ肉を売るのではなく焼肉とかしゃぶしゃぶなどの食文化も一緒に輸出しなければいけないと実際に現地に行ってみて思いました。誰かがオーストラリアで焼肉屋をはじめて大繁盛してくれればよいのですが・・・。

 あと余談ですがオーストラリアで牛乳を3回買って飲んでみました。あくまでも小生の主観ですが、小生の口にはあまりあいませんでした。もちろん問題なく飲めるのですが、物凄く味が薄く感じました。ちょっとオーバーな表現ですが、水に牛乳を溶かしているような・・・。オーストラリアの方、スミマセン!

 日本の牛乳は「超うまい」と思いますよ~。

今週の動画
 「 牛肉とミルクと砂浜 Beef,Milk and Sand coast. 」

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