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池田哲平のコラム
「牛の解剖58: 第四胃(2) ~発酵ではなく消化する~」

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2010年10月22日

 第四胃の機能の特徴として最も重要なのは、第四胃が反芻獣の4つの胃の中で唯一、腺分泌を行うということです。腺分泌とは、消化液(胃では酵素や胃酸)が胃の壁から胃の中に出てくることです。
 第四胃以外の3つの胃(まとめて前胃と呼びます)には消化液を分泌する腺がなく、よく発達した細菌叢によって食べたものを微生物発酵します。これに対して第四胃からは、ペプシンノーゲンやキモシンといった消化酵素と塩酸が胃壁の分泌腺から分泌されます。これら各種消化酵素と塩酸の作用によって、第四胃では食べたものが消化されます。こういった第四胃の働きというのは、単胃動物(反芻獣以外の胃を一つしか持たない動物)の胃が持つ機能・役割と同じです。具体的には、胃酸(塩酸)によって食べたものを酸性に保って殺菌して腐敗を防ぎ、ペプシン(ペプシノーゲンが変化した活性型酵素)によってタンパク質(菌体タンパクとUIP)を消化しているのです。
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