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池田哲平のコラム
「牛の解剖57: 第四胃(1) ~他の3つとは少し違う~」

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2010年10月15日

 ウシの四つの胃の最後は第四胃です。この第四胃は、同じ胃でもこれまで紹介してきた3つの胃とはかなり毛色が違ったものです。今回から数回にかけて紹介していきたいと思います。

 第四胃が他の3つの胃と最も違うのは、その機能です。後々詳しく説明しますが、第四胃は単胃動物(反芻獣以外の胃を一つしか持たない動物)の胃と同じ機能を持っていて、胃酸などを分泌することで食べたものを消化します。
 第四胃は第三胃の下側から後ろにかけて位置していて、第一胃と共に四つの胃の中で最も下(腹側)にあります(牛の解剖55の図を参照)。ウシを右側から見たとき、ちょうど肋骨の最後(尾側)の部分からちょこっと顔を出している感じなので、第四胃の病気を疑っている時などは、この部分を入念に聴診・打診・振蕩診(揺すってみる)します。肋骨に邪魔されないので、第四胃にガスが張っていればこの部分が膨らんで見えますし、食滞などが起こっていれば硬くなった第四胃が触診によって分かります。第四胃潰瘍になっているウシなどは、この部分を抑えると痛みを訴える場合もあります。

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