(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
戸田克樹のコラム
第269話「菌と牛―その④番外編-」

コラム一覧に戻る

2020年1月22日

菌の話を続けてきましたが、ちかごろはオリゴ糖にも注目が集まっています。

オリゴ糖ってそもそも何???
ブドウ糖はみなさん聞いたことがあると思います。このブドウ糖は「単糖」というグループに属しています。その単糖には他にもフルクトースやキシロースといった糖が含まれいますが、その単糖が3~10個程度つながったものがオリゴ糖です。ちなみに10個以上の単糖がつながっていくと、皆さんご存知のデンプンという巨大分子になっていきます。

とくに注目されているのが「難消化性オリゴ糖」といって、消化酵素で分解されにくいオリゴ糖です。

分解されないメリット
酵素で分解されると、糖として動物のエネルギー源になります。難消化性であれば、分解されないまま腸の方まで流れていきます。すると、動物自身の栄養にはならないのですが、ここで腸内細菌のエサとなるわけです。しかも、すべての細菌のエサになるわけではなく、ビフィズス菌やラクトバチルス菌といった体にとって良いとされる細菌のエサになるというからすばらしい!(エンテロバクターやウェルシュ菌といったいわゆる悪玉菌のエサにはなりにくいのです)。

直接乳酸菌をとることはもちろん体にいいのですが、一旦完成した腸内細菌叢はそう簡単には変わりません。いくら体に良い乳酸菌を取り入れても、それをやめてしまえば腸内細菌叢はもとの状態にいずれ戻ってしまいます。一方、オリゴ糖を摂取した場合は、もともと体の中にいる良い細菌の数を増やすことができるというメリットがあるようです。

人間だけでなく、牛でも今後ますます注目されるテーマになってくること間違いなしです。

|