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池田哲平のコラム
「牛の解剖45: 第一胃(1) ~反芻獣の生命線の入り口~」

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2010年7月16日

 食道は心臓の上を通って横隔膜を抜けて腹腔へと続き、その先は胃へと続きます。反芻獣が他の哺乳類ともっとも解剖学的な違いを見せるのが、この胃の部分です。
 皆さんご存じのとおり、反芻獣には胃が4つあります。それぞれの胃には、各々の特徴を表す独特の名前が付いています。

 第一胃:瘤胃(りゅうい、こぶい)
 第二胃:網胃(もうい)、
      蜂巣胃(ほうそうい)
 第三胃:葉(状)胃(よう(じょう)い)、
      重弁胃(じゅうべんい)
 第四胃:雛胃(すうい)
 
 第一胃は4つの胃の中で最も大きな胃で、いくつかの区画に分けられています。その分けられた区画が外から見たときにデコボコと瘤(こぶ)の様に見えることから、瘤胃と呼ばれています。英語ではrumen(ルーメン)と言います(こちらの方が馴染みのある方も多いでしょうか)。先ほども言った通り、第一胃は4つの胃の中で最も大きいですが、その役割も4つの中で一番重要と言ってもいいくらいの働きがあります。反芻獣の生命線と言ってもいいくらいの第一胃について、次回から少し紹介していきたいと思います。

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