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池田哲平のコラム
「牛の解剖46: 第一胃(2) ~最大の消化管~」

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2010年7月23日

 胃全体の容積は記載されている書籍により違いが大きいのですが、60−200Lとあり、思ったより大きくはない(60−100L)と記載しているものが多いです。そのなかで、第一胃は胃全体の約80%を占めており、最大の消化管として機能しています。そのため、ウシの腹腔の左半分はほぼ第一胃で占められており、図にある通り、ウシを左側から見た場合の腹部は第一胃しか見えないと言っても過言ではありません。
 私たちは日々農場でウシを診察していますが、この第一胃の動きを聴診・打診によって把握することがとても大切です。左の膁部(最後肋骨の後ろと太腿の前に出来る逆三角形部分)に聴診器を押し当てて聴いていると、地鳴りのような音が断続的に聞こえ、また胃の動きが良好な時は、雷鳴のような音と共に押し当てた聴診器を逆に押し返す様な胃の動きが感じられます。肺に肺炎がある時などの音は聞こえると悲しくなりますが、第一胃のこの音が聞こえるとうれしくなります!(聴診の詳しいお話は蓮沼先生のコラム(第92話〜)をご参照ください)
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