
|
|
まずシンナー中毒のタイプ。このケースは、分娩前2ヶ月間の増し飼い(増しエサ)や授乳中の増し飼いが足りない場合によく見られます。牛さんの場合、おなかの中の赤ちゃんは、分娩前2ヶ月間にターボがかかったように成長します。ですからこの時期は、母牛に「おなかの赤ちゃんが大きくなるために必要な栄養(増しエサ)を与えないといけないのです。一般的な母牛(体重450kg程度)の場合で、配合飼料と粗飼料をそれぞれ1kg程度増やしてあげるのが目安です。授乳中の母牛も同じように、大まかには粗飼料1kgと配合飼料2kg程度を目安にします。しかし1頭1頭で飼料効率も異なりますから、きちんと観察しながら「お母さん牛さんのおなかが大きいか」と、「外見でお母さん牛さんのあばらが3本くらい確認できるか」を目安に増減してあげましょう。 もしお母さんに与えるエサのカロリーが不足していると、お母さんは自分の体を削ってでもおなかの赤ちゃんを育てようとします。このときに体脂肪を燃やしてエネルギーに換えるのですが、脂肪を燃やすにはビタミンB1とブドウ糖が必要で、もしもこれらが不足していると脂肪は不完全燃焼してしまうのです。そうなると脂肪の燃えカスが体の中にたまってしまいます。この脂肪の燃えカスがケトン体といってシンナーの仲間なのです。僕は、シンナー入りのミルクを飲んだ事はありませんが、そんなものを飲ませたらおなかをこわすだろうなぁ、ってことは誰だって解りますよね。(つづく)
|