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笹崎直哉のコラム
習慣と牛さん

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2019年12月17日

 皆さんが日常の中で「これはこの時間にやる!」といった習慣があると思いますが、牛さんの管理面でも同じことがいえると思います。

 例えば飼料給与回数や時間が挙げられますよね。農場によっては1日あたり4回~5回給餌しているところもあれば、朝夕の2回のところもあると思います。給与時間も農場によって様々です。ここで重要なことが1点あります。それは決められた給与回数や時間をむやみに変更しないことです。変更により、牛さんにストレスがかかり、第1胃内の環境が乱れて、発酵不良となり善玉菌のバランスが崩れる恐れがあるのです。

 具体的にどんなことが起こるのか?という方に向けて「アンモニア利用菌群」を例に考えてみましょう。牛さんが摂取したタンパク質は第1胃でアンモニアという有毒物質に分解されるのですが、アンモニア利用菌群はこういったアンモニアを新たなタンパク質へ作り替えてくれます。ものすごい腕の持ち主ですよね。このタンパク質を一般的に「菌体タンパク質」と呼びます。成分が一定で牛さんが利用しやすいタンパク質です。ここで先ほど述べたストレスが入ると、アンモニア利用菌が減ってしまうため、アンモニアがアンモニアのまま第一胃に残り、そのまま吸収されてしまいます。吸収されたアンモニアは体内のいろんな場所で悪さをするため、牛さんの体調不良の根源になります。

 ストレスの原因はたくさん考えられると思います。今回のコラムはそのごく一部の内容にすぎません。これを機会に考えられるものから改善してあげるといいですね。意外と思わぬところから発見できるかもしれません。

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