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原田みずきのコラム
解熱剤について①

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2019年12月6日

早いものでもう12月ですね。スーパーなどではどこもクリスマスソングが延々と流れています。日中も気温があまり上がらない日が多くなり、子牛の肺炎も増えてきました。41℃を超える発熱を伴う肺炎もちらほら出ています。そんなときにお世話になるのが解熱剤。今回のコラムでは解熱剤についてお話いたします。
 
 
まず、解熱剤はステロイド系(SAIDs)と非ステロイド系(NSAIDs)の2種類に分類されます。人間の薬でも聞いたことがある名前ですね。

ステロイド系の解熱剤は、牛の診療では合成副腎皮質ホルモン剤であるデキサメサゾンがよく使用されます。副腎皮質ホルモンは本来糖代謝に関わるホルモンですが、高用量で抗炎症作用や解熱作用があります。ステロイド系の解熱剤はシクロオキシゲナーゼの誘導を抑制し、熱産生の指令を出すプロスタグランジンの生成を抑制するなどの効果で解熱作用を示します。副作用としてはサイトカインの産生を阻害することで、リンパ球やマクロファージの機能を抑制し、連投することで免疫を抑制してしまいます。これによって感染症が悪化してしまったり、新しく感染症に罹患してしまう可能性があります。また、妊娠中の牛には使用できません。

ステロイド系の解熱剤は強力な解熱作用があり、うまく使えば非常に有用なお薬です。副作用に気をつけながら、上手に使うようにしましょう。

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