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原田みずきのコラム
発熱の生理学的意義

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2019年11月29日

最近、事務所の空いている水槽をもらってグッピーを飼い始めました。

子供の頃、ある少年がグッピーを飼いはじめてどんどん増え、部屋中グッピー入りの瓶だらけになる外国の小説を読んでからずっと飼ってみたかったんです。毎日赤ちゃんが産まれていないかなーと眺めること1ヶ月、とうとう見つけました。

可愛いですね。2、3ヶ月で成魚と同じくらいの大きさになるそうです。部屋中グッピーだらけになるまで頑張って増やします。

さて、前回のコラムでは感染が起こったときの発熱の機序についてご説明いたしました。
簡単におさらいすると、炎症部位から放出されるサイトカインが脳まで運ばれると、プロスタグランジンE2(PGE2)が産生され、これが体温調節中枢に働きかけて熱産生を促進して発熱させるという機序でした。簡単に書いても複雑ですね。なぜここまでして体を発熱させるのでしょうか。今回のコラムでは発熱の生理学的意義について説明していきます。

まず、動物は発熱することで以下のような効果を得ることができます。

・体内に侵入した病原体(細菌、ウイルスなど)の増殖に適した温度より体温を上げることで、増殖を抑制する。
・体温を上げることで白血球の働きを活性化し、病原体を排除しやすくする。

このように発熱は生体の防御メカニズムの一つなのです。人間でも風邪のときに熱を無理に下げなくても大丈夫だと言われていますね。牛の場合は高熱が続いて餌食いが落ちてしまったり、発熱自体も平熱時と比べて多くのエネルギーを消費してしまうため、あまり発熱がひどいようでしたら解熱する必要があります。

次回からは解熱剤についてご説明させていただきます。

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