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蓮沼浩のコラム
第592話:BRDC病原体の検査について その18

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2019年11月7日

 事務所に戻ると戸田獣医師が立ってコンピューターで仕事をしています。気になったので「どうしたの~~」と聞いてみると「立って仕事をした方がはかどるのですよ!」との返答。確かに最近彼の仕事は早いし、出来も非常に素晴らしいです。「おぬし、なかなかやるの~~」

 小生も真似しよっ!
 
 
 長々と「BRDC病原体の検査について」というテーマで駄文を書き連ねてきました。小生はそれこそ今までに数えきれないくらいの牛さんの呼吸器病を治療してきました。そして、肺炎の牛さんの病理解剖も数えきれないくらいやってきました。滅茶苦茶になっている肺の状況をみると、何とも言えない沈鬱な気分になります。
 
 ここまでひどい肺炎になってしまうのはどうしてだろう???

 小生は「飼養衛生管理の問題」が非常に重要だと考えています。

 やはり先人たちが、何度も何度も何度も繰り返し述べてきていることは間違いありません。では、飼養衛生管理をどうすれば良いのか???ここが重要です。飼養衛生管理といっても範囲はあまりにも広いです。どこから手を付ける???

 今、農業の世界は大きな転換点を迎えていると思います。様々なテクノロジーを用いてビッグデータ解析を行ったり、AIも登場してきたりしています。「スマート農業」という言葉もかなり広がってきています。そして、今回紹介した「GenelyzerTMⅡ」などBRDCを検査するシステムもできてきています。

 このようなテクノロジーやシステムを用いることで、飼養衛生管理という漠然とした言葉の内容がより具体的になり、牧場ごとに改善すべき点が明確化され、多くの牧場で劇的な生産性の向上が進むかもしれませんね。昔は結核がヒト様の世界では死因の多くを占めていた時代がありました。肺炎・気管支炎による死因も高い割合でした。しかし、今は死因の多くは悪性新生物にとって代わられています。結核など劇的に減っています。牛さんの世界でも、肺炎というものがいつの日にか劇的に減り、過去の疾病となる時があるのでしょうか。これからの未来がちょっと楽しみでもあります。

今週の動画
「牛の尻尾の結び方 How to tie the tail of the cow」

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