(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
蓮沼浩のコラム
第591話:BRDC病原体の検査について その17

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2019年10月31日

 10月もあっという間に終わってしまいました。早いな~。この調子だと、すぐに年を越してしまいそうです。時間を大切にして11月、12月と頑張りたいです。

 衛生対策を実施する上で一番重要なことは、客観的なデータに基づいて自分の牧場の状況をしっかりと把握することになります。「マイコプラズマ・ボビスがいる。」「牛RSウイルスが発生した。」「BVDが入り込んでいた。マンヘミアが広がっていた。」など、そこがわかって初めて適切な対応をとるスタート地点に立てます。現場を回っていると、牧場内がボロボロにやられているのに、この最初のスタート地点に立つことなくどうしたものかと悩んでいる事例に多々遭遇いたします。これでは「目隠しして敵と戦っている」のと同じです。たまたま何かやってうまくいくかもしれませんが、すぐにまた同じような問題がでてきます。何度も何度も同じ過ちを繰り返します。

 彼を知り己を知れば百戦殆ふからず。
 彼を知らずして己を知れば一勝一負す。
 彼を知らず己を知らざれば戦ふ毎に必ず殆ふし。

 有名な古典に書いてある戦いの要諦になります。非常に重要なことですね。彼も知らないし、己も全くわかっていない状況では牧場の状態は決してよくなりません。「必ず殆ふし」という状況になります。世の中は情報戦です。自分の牧場の情報をどこまでしっかりと把握できるか。敵の情報をどこまでしっかりと入手できているか。ちょっと意識を変えてみてもいいかもしれませんね。

 もちろんスタート地点に立ったからすぐに問題が解決するというわけではありません。そこからゴールに向かって様々な取り組みを行っていきます。時間のかかることも沢山あると思います。たとえば前回お話しした養牛の世界で完全なSPFを構築することなど難しいかもしれません。しかし、少しでもこのSPFという概念を頭にいれて牧場の衛生対策に取り組むということがあってもいいと思います。

 養豚の世界では豚コレラ、アフリカ豚コレラという脅威にさらされて、今までの世界とは全く違う次元での衛生対策が取られています。昔の衛生対策の考えでは通用しません。時代は確実に変わっています。

今週の動画
「牛の保定時における注意事項 Precautions of restraint of cattle’s head」

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