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笹崎直哉のコラム
妊娠している牛さんが発情?

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2019年11月5日

 先日「妊娠しているはずの牛が発情きてますけど、大丈夫ですか」との電話がありました。妊娠鑑定は胎齢40日を過ぎた時点で行い、妊娠陽性だったのに、、、と思いつつ、現場に向かいました。

 確かに牛さんは尾根部が擦れて赤くなっており、乗られた(マウンティング)形跡がありました。嫌な予感がプンプンする中で、直腸検査を行ってみると、左右不対称の子宮に触れエコーでも妊娠腔と胎子を確認しました。卵巣までしっかりチェックしてみると、妊娠黄体と12mmくらいの卵胞を見つけました。

 これは妊娠発情と呼ばれ、妊娠していても卵胞は発育して大きくなったり、退行といって小さくなったりを続けるので、妊娠期の牛さんでも発情兆候を示すときがあるということです。妊娠発情は裏発情とも呼ばれているので、皆さんも聞いたことがあるかもしれません。妊娠120日以内の牛さんでこのような妊娠発情をする割合は10%といわれています。意外に多いみたいです。

 なので妊娠牛が発情しても、実際に直腸検査を行って子宮の状態を確認することが重要です。

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