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笹崎直哉のコラム
カロリーってなんだろう その3

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2019年10月29日

 カロリーの補給のためにトウモロコシを補充しようとしたとき、細かく粉砕加工されたトウモロコシを給与してみたり、蒸気圧ペン加工されたものを選んでみたりと農場によって様々だと思います。そもそもこの加工方法の違いが牛さんにどういった影響をもたらすのか考えてみましょう。

 実は穀物をミクロの世界でよ~く見てみると、デンプン質の周りにをタンパク質が引っ付いているんです。つまりデンプンの周りをタンパク質が壁のように覆っていることになります。牛さんが穀物を摂取し、ルーメン内の微生物がデンプン質を消化しようとしても、この壁を壊すことが第一関門となり、このままだと結果的にルーメン内の消化率が低下してしまいます。これを改善しようと考えられたのが、加工です。蒸気圧ペン加工では熱を加えることで、タンパク質が熱変性を起こしてくれるし、デンプン質も熱が加わることでルーメン内の微生物が代謝しやすくなり、消化率が大きく改善します。これはいかにも化学的な加工方法です。では穀物の粉砕はどうでしょう。実は結構単純な話です。細かく粉砕することでルーメン内の微生物が住み着く穀物の表面積が増えるので、消化速度が改善します。これは物理的ば加工方法として考えられています。穀物の種類によってルーメン内での微生物代謝は変わってくるのはもちろんですが、加工方法でも違いがでるんですね~~。

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