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笹崎直哉のコラム
カロリーってなんだろう その2

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2019年10月22日

 では牛さんの体温はどうやって調節されているのでしょうか。主に2つの方法があって、代謝によって発熱し調節する方法と体表面による物理的調節方法が挙げられます。

 牛さんが「あ~快適だなあ~」と感じる温度は、体温の調節機構はそこまで働かないのでカロリー消費は少なくなります。しかし気温が低下し「おや、なんだが寒くなってきたぞ!!」となると、体温を維持するためにカロリーを多く消耗します。

 基本的には気温が5℃を下回ると、牛さんは寒さを訴えるのですが、幼齢であればあるほどその温度は上昇する傾向にあり、生後間もない子牛さんであれば15℃でも寒いと感じてしまいます。もちろん風通しや湿度によって感じ方は変わってくると思いますし、細かくいえば被毛の長さによっても変化します。

 基本的に寒冷時には血管をギュッと収縮させ熱放散を抑制したり、代謝活動を亢進させ、熱を生産するので、普段よりも多くのエネルギーが必要になってきます。このような場合にお母さん牛で問題になってくるのは、卵巣の働きが弱くなってしまうことで受胎率の低下を招いてしまうこと、子牛さんでは活力低下、削瘦、被毛の粗剛あるいは脱毛がみられやすく、感染症にもかかりやすくなってしまうことです。改めて、寒いときに牛さんの摂取カロリーを見直すことの重要性を感じますね。

つづく

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