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池田哲平のコラム
牛の解剖28:舌2 ~縛られるのが嫌いな自由人~

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2010年2月13日

 では舌はなぜあのように器用に動くことが可能なのでしょうか?
 舌は骨格筋の一種(骨格筋の説明は「牛の解剖13」を参照)なのですが、実は他の骨格筋とは少し違う特殊な筋肉なのです。その特別な点というのは次の二つです。
 まず一つ目ですが、それは舌の筋肉が骨に付着していないという点です。骨格筋というのは”骨”という文字が示す通り、通常、骨から骨へと走行するのですが、舌の筋肉はそうではなく特別に周囲の筋肉から発生しているのです。通常、私たちが牛の舌として認識している部分には骨はなく、舌の土台部分に舌骨や下顎骨というものが存在します。この土台に付着する小さな複雑な筋群から、さらに舌そのものを構成する“固有舌筋”が出てきているのです。焼肉屋さんで食べられている“タン”はまさにこの固有舌筋です。固有舌筋は、骨という硬い組織や骨と骨の繋ぎ目である関節がないおかげで、その動きの自由度が大きくアップしているのです。

 舌が他の骨格筋と違うもう一つのポイントはまた次回…。

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