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池田哲平のコラム
休題:ゾウの解剖 ~食物をつかみ取るスーパースペシャリスト~

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2010年2月6日

 前回のコラムで、ウシの舌は食べ物を食べるときに非常にうまく機能しているというお話をしました。
 今回はウシの話は少しお休みして、ウシの舌よりももっとうまく食物をつかむ機能が進化した体の部位を持つ動物を紹介したいと思います。その動物とは(タイトルでばれていますが…)ゾウです。
 ゾウと聞いて皆さんすぐにピンと来たかと思いますが、その特徴と言えばあの長〜い鼻ですね。あの鼻は、食物をはじめあらゆる物を非常にうまくつかむことができ、まるでヒトの手や腕の様に機能します。ちなみに、ゾウの鼻は正確には上唇が長くなったものであり、その先端に鼻孔が開いている(鼻が付いている)といった感じなのです。ただ便宜上“鼻”と言っているんです(僕もそう言いますが…)。
 ゾウの鼻の凄い点は、鼻全体を使って草木を一気に巻き取って食べるような豪快なことができる反面、鼻の先を使って木の実や豆類と言った非常に小さなものや、自然界にはあまりないですが豆腐のような柔らかくもろいものまでつかんで食べることが出来るほど細かい作業もこなすところです。ゾウは手を使わない動物の中ではもっとも機能的に進化した体の特徴をもつ動物なんです。

 余談ですが、大学時代に動物園で死んだゾウの病理解剖を見学させてもらう機会があり、その時、ゾウの心臓がダンプカーのタイヤくらいの大きさがあったのを見て衝撃を受けたのを今でも覚えています。

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