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戸田克樹のコラム
第257話「たまには表示を見てみよう③~算数の時間です①~」

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2019年10月23日

ハロウィンが近づいています。まさか、農場内でも準備が進んでいるとは…驚きです(笑)。

今回も薬品の説明書をもう少しみてみることにします。まだまだ重要な情報が書かれています。
 
 
畜産関係者にとって大切なのは出荷規制ですね。
お肉かミルクかでも全然異なる数字が書かれています。
通常は「本剤投与後下記の期間は食用に供する目的で出荷等を行わないこと」、という文言の下に書いてあります。

たとえばネオアスだと
牛・馬・豚:10日間
牛乳:36時間

と書いてあります。これを守らないと製品が廃棄になりますので、ここを見ない畜産関係者はいないです。ただ、普段あまり使わない薬剤だと、この数字の記憶はあやふやになりますので、少しでも不安を感じたら必ず薬剤の説明書を確認するようにしてください。ちなみにシェパードでは笹崎獣医師の力作である薬剤一覧が活躍しており、「あれ?あの薬の出荷規制何日だったっけ?」と冷や汗がでてもすぐに確認できるようになっています。

投与量はどうでしょう。ネオアスのように「1kgあたり〇ml」と書いてあれば分かりやすいのですが、ときおり「1kgあたり成分として〇mg」というような書き方をしていることがあります。この場合は算数の時間のはじまりです。

今回は懸濁水性プロカインペニシリンGを例に考えてみます。
こちらは表記が特殊で、
「有効成分ベンジルペニシリンプロカインを1mlあたり30万単位含有」
と書いてあります。そして、牛であれば1日1回、体重1kgあたりベンジルペニシリンプロカイン(成分)として
通常:4,000~5,000単位を筋肉内に注射
乳房炎の場合:10,000~15,000単位を筋肉内に注射
術後感染症の予防:100,000~200,000単位を注射
とされています。…複雑です。

目の前に牛に一体どれくらいの量を注射すればよいのか。算数の時間のはじまりです。

つづく

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